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ゆっくりと…ゆっくりと…二人の距離が縮まって行く…
そして二人の距離は、刃の切っ先が触れ合う程にまで詰められた
静寂
樹海の木々のざわめきと、木の葉の揺れる音が一行を包む
微かな虫の羽音すら聞こえて来そうな程に、その場は静寂に包まれ、二人の男は静止していた
達人同士の戦いに於いてしばしば発生する静寂の世界…
互いが互いに技を読み合い、詰め将棋の様に高度で、かつマグマの様に熱く、そして深海の底の様に重く、深い
微動だにしない二人が今正に居るのはそんな"世界"だ
だがそんな世界に一匹の蜻蛉が迷い込む
二人の世界、視線の真っ只中に、その蜻蛉が通り掛かった時だった
激しくぶつかる刃と火花が、蜻蛉を瞬きする間に切り刻んだ
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