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張り詰めた空気と沈黙が一行を包み込む
数拍おいてまた矢が飛んで来た
今度は冴木が小太刀で難なく弾き落とす
冴木「隠れてないで姿を表せ腰抜け!!」
冴木が一喝すると木々の間から男の声が聞こえて来た
ちよしの肩がビクッと跳ねる
???「いや~、やっぱお手製の弓矢何かじゃ上手くいかないねぇ!」
ガサガサッと枝葉が揺れ地面に何かが着地する音が聞こえた
音のした方から一人の男が歩いて来る…
???「よ~うちよしちゃん!元気してたかなぁ?」
木々の間から現れた男は陽気に話しかけて来るがちよしは小刻みに震えていた
怯えているのだ
その様子から察するにちよしとその男との関係は明らかだった
冴木「お前か…六郎…」
六郎(ろくろう)と呼ばれた男がゆっくりとこちらに歩いて来る
その両手には二本のグルカナイフが逆手に握られている
六郎「相変わらずの仲良し義兄妹みたいだなぁ…隆司お兄ちゃん?」
六郎はちらりと月華と直哉を見たが特に興味も示さず注意している様子も無い
最初から冴木とちよしが目的なのか?
だが銃を装備した相手を前にこの余裕…
直哉は六郎が何か企んでいるように感じた
冴木「お前達は下がってろ…」
そう言うと冴木は背負っていたリュックを地面に下ろし、二本の小太刀を構えながら摺り足で徐々に六郎との距離を詰めていく
六郎と冴木の距離が縮まる度、二人の殺気が場の空気を圧倒していく
凄まじい殺気に周りの景色が歪んで見える
アドニカの時とは違う
本当の゙命の奪い合い゙が今始まろうとしていた
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