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「はい。…突然押し掛けてすみません」
と言っても、勇典さんにはこの脱走計画を伝えていた。
ただ日にちまでは決めていなく、連絡もせずこんな夜分遅くに来てしまった事を謝ったのだ。
実はゼロワンだけは研究所を出る許可を得ていた。
だが俺は違う。
正真正銘家出だ。
父は俺がいない事に気付いただろうか。連れ戻しに来るだろうか。
それでも俺には一つだけ固い決心がある。
どんな手段を使っても父を“裁く”というもの。
俺は父に父としての愛情を受けていた自覚がある。
だが犯罪は犯罪。
今、警察なりなんなりに言わないのは、確実に罪と突き付ける為だ。
いつか、必ず、俺が。
それが知らないふりをしていた自分への罰。
否、罰という言い方は良くないか。
まあ、こう言う俺の大それた考えを、勇典さんに何日もかけて話していたのだ。
勇典さんは何故か通報する事はせず、ここに来ても良いかという要望にも頷いてくれた。
すんなり承諾してくれた理由は未だに解らないが、ついさっき駆け込んだ俺達を何も言わず受け入れてくれたわけだ。
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