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無知は罪だ。
無知は人を傷付ける。
それに気付いたのは俺が15歳になった時。
否、本当は気付かないふりをしていただけ。
己の安泰を保つ為に。
「ジン、どこ行くの? 」
「…勇典さんのとこ」
真冬の夜道。
田んぼに囲まれた電灯もない道を、探り探り進む。
俺は小さな手をきつく握り、シャーベット状の雪の上を半ば引き摺るように足を動かした。
冷気のせいか、興奮のせいか、酷く呼吸がしにくい。
まだ8歳の少女の歩幅を気遣う余裕も無い。
ただあの場所を目指して、真っ白な思考のままに前だけを見て進んだ。
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