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そう、ただ私はあのハンカチを返してもらうだけなの。
透子は自分に言い聞かせるように心でつぶやき家を出た。
出来るだけ時間をかけて歩く。
胸の高鳴りは期待なのか戸惑いなのか、透子は複雑な感情に何度も足が止まり迷わせた。
運動公園につき、昨日のベンチへ向かう。
(……いた。)
黒いTシャツにスキニージーンズ、ハニーオレンジの髪は太陽の日差しで明るく目立っている。
透子は思わず彼に駆け寄った。
「本当に…‥いた。」
少し走っただけで軽く息が弾んだ。
彼は透子に視線を向け、
「よかった…来てくれた。」
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