出逢~first story~

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そしていつまでもはっきりしない透子の手を取り立たせると、有無をいわさず歩き出した。 「この近くの鈴華(すずはな)でいい?」 「えっ!」 透子は彼の横顔を見上げ、 「ダメよ!」 思わず声を上げた。彼は驚いたように透子の顔を見る。 鈴華といえば懐石料理の老舗で、よくテレビや雑誌に取り上げられるほど有名な店だ。 いくらお詫びのご馳走とはいえ、明らかに自分より年齢の若い青年に連れてもらう義理はない。 「……あっ…違うの、私行きたい喫茶店があるんだけど。」 気まずくなる空気を繕うように透子自ら提案した。
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