出逢~first story~

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透子はもう一度あたりを見渡した。 やはり人気はない。 躊躇いつつも、ベンチ横の木陰に買い物袋を置き、バッグからハンカチを取り出すと、吸水場でそれを濡らそうとして一瞬戸惑った。 リバティプリントの小花柄ハンカチ……。 夫と付き合い始めて間もなくプレゼントされた物だった。 透子はもう一度、彼を見てからハンカチに軽く水を含ませて、男の唇からにじみ出ている血を軽く拭おうと押し当てた。 その時、傷がしみたのか男はピクッと身を震わせ、薄く目を開けた。透子は少し安心して笑みを浮かべる。 徐々に目を開く男の顔を見て、透子はドキッとした。
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