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紙面に垂らしたインクが白を浸食する光景に目を奪われた
それは生きているようにジワジワと染めていく
「まるで世界が支配されていくようね」って君は言った
それは悪夢だね
僕らは描いた、青いインクを垂らして
どこか暗い空を描いた
清々しさのない白々しい空を
そこに見晴らしの良い高い塔を二人一つずつ灰色の線で描いた
「一番上から何が見えるだろうね」って君は言った
きっと悪夢だよ
僕らは描いた、赤いインクを垂らして
生々しく流れ出すように
僕らは描いた、輪郭だけを強調して
形だけを拘った中身のない世界に向けて
夢中になって塗りつぶした
描くスペースはもう残っていない
真っ黒だ!
絶望の色はこんな色?
真っ黒になった世界に白い線を描く
その一本の線を僕ら描きたくて
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