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「ともかく、何もかも怪しすぎる。総司、蔵にでも放り込んでおけ!
尋問は・・・後でゆっくりおれがおしてる」
わざと怖がらせるように、全身舐め回すように見てニヤリと笑う。
女は尋問は男の尋問よりたやすい。
これでたいがい落ちてペラペラ喋るのだ。
決まったな・・・
そこに馬鹿の総司が水をさす。
「副長、さすがに蔵はかわいそうじゃないですか~?ってか、間者って感じはしませんよ?」
そう言った総司の顔は、なぜだかウキウキとして楽しそうである。
もしや・・・
総司の野郎、この娘に興味深々なんじゃねえの?!
優しく手を取り、娘を立ち上がらせ、極上の笑顔まで向けてやがる。
あいつ・・・
普段は女にはまったく興味を示さないのだが、人にしろ物にしろ、気に入っちまうと頑として譲らないとこがある。
手を握り見詰め合っている二人を見ていたら、なんだか、無性にイライラしてきた・・・
「け!
総司、後でその女、俺の部屋に連れてこいよ!わかったな?」
他の隊士の前、女の取り合いなんぞすると示しがつかない。
気にくわねえがここは、一旦総司にまかせるか。
俺は踵を返し、自室に戻る事にした。
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