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◆◆◆
一方、ところ変わって、ダッシュ地点。
「あら~、逃げちゃった~」
女は呟く。
「たぶん、キラーンとか効果音が鳴ってたから、『ふっ、俺について来れるかな?』的なこと思ってたんじゃない?」
男は自分の考えを述べてみる。
「なら追わなくちゃいけないわね……フフフ」
女は、男の推理に邪悪な笑みを浮かべる。
「ちょ、僧侶目がコワイから」
「フフフ……」
僧侶、と呼ばれた女は邪悪な笑みを浮かべ続ける。思考はどこかに飛んで行ったらしい。
そんな僧侶を呼び戻そうと、男は声をかける。
「僧侶、目が獣になってるって」
すぱっ。
「あら? 何か言ったかしら?」
「……あの、何かが僕の右頬を切り裂いていったんだけど?」
「そんなことあるはずないじゃない(ニコッ)」
「いや、でも、僕の右頬から血が出てるっていうか、壁に明らかに僧侶のナイフが刺さってるし」
男は反論を試みる。
「あら~? こんなトコに刺さってたの、私のナイフ。探してたのよ~」
が、軽く受け流されたようだ。
「いや、そのナイフに僕の鮮血が付いてるよね?」
再び男は反撃を試みる。
「あら? 何にも付いてないわよ? 勇者クンの血なんて。目が悪いんじゃない?」
「いやいや、今思いっきりそのハンカチで拭いてたじゃん!!
そう言う僧侶こそ目が悪いんじゃない? 年かもね。だってもう、二じゅう…」
ズパッ!!
「あら~?何か言ったかしら?(ニコニコッ)」
「あの……明らかに僧侶のナイフが僕の左頬を切り裂いていったんだけど!?」
「あら、また飛んでったのね~? 最近ナイフが勝手に飛んでくのよ~。だから勇者クン気をつけて?
……余計なこと言わないように(ボソッ)」
「今ボソッっと問題発言した!? 明らかに僧侶の機嫌でナイフ飛んでくるじゃん!! てか別に僧侶そんなに気にするほど年いってるわけじゃないじゃん!! だって二じゅ……」
ズパーン!!
「次は耳を狙う……」
「ついに自分が狙ってナイフ飛ばしたの認めたよ!? てか僕のモミアゲがぁぁぁぁ!! なんてことをするんだ!!」
ゴゴゴゴゴ(僧侶の背景描写)
「…………なんかホントすいませんでした。僕が悪かったです。僕の器の小ささを改めて実感しました。ホントすいませんっ……」
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