第十二章 目的

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キャラ作ってるわけじゃないんだけど!! 「何か資格とかないんですか? 『バナナ検定一級』って書いてありますけど、これ、存在するかすら怪しい……」 「いや、ありますよ!!」 「どうせまたメラ王国云々って始まるんでしょ? 長くなりそうなんで話さなくて結構です」 なんでこの人は俺にバナナについて語らせてくれないんだろう? もしや、アンチバナナ的な組織の刺客か!? 「で、無いんですか? バナナにまつわること以外の資格とかは」 「バナナ以外か……。一応、連合国軍戦略指揮免許とか魔物ハンター三級とか持ってますけど」 とりあえず挙げてみた。 「何その指揮免許って!? なんかすごくない!? バナナなんかじゃなくてそういうの書けよ!!」 「すいません」 今度からそうしよう。 「ちなみにその指揮免許っていうのはどこで貰えるんですか?」 男から「こんなやつでも貰えるんだから俺でも貰えるんじゃね?」とか小声で聞こえるんだけど。心の声丸聞こえなんだけど。 それはスルーしつつ、 「中佐、いえ、勇国騎士団長から勇者一行全員に『はい、あげる』って言われて貰いました」 としっかり答える。 しっかり答えたんだ。これで好印象は確実だろう。 「あ、あなたまだ勇者一行キャラ演じてるの!? もういいよ、それ!! 作り話にしても、団長がそんな簡単に渡すわけないでしょ!!」 好印象どころか印象が悪くなってる!? てかキャラ演じてねぇよ!! 本人だよ!! 実際、中佐も軽い感じで免許証渡してきたよ!! いや、これはもしかして、急にヒステリックになってこっちを動揺させるという相手の戦法か!? 確か指南書にそんなこともあるので注意って書いてあったな。 動揺したりキレ返したりしたら俺の負けということだな。落ち着いて受け答えしなくては!! 「私は事実を言ったまでです」 よし、完璧だろ? 「はぁ~、もういいです」 あれ? なんか飽きられてない!? 「因みにですが、キャラ付けで指揮免許というすごいものを言っているのに、なんでもう片方は魔物ハンター三級って言ったんですか? 普通、一級とか言いません? そんなすごいキャラ演じようとしてるのに、そこだけ微妙ですよね」 俺がそんな強くないからだよ!! 微妙とか言うなし!! てかキャラ演じてねぇよ!! くそっ、ここが“仕事の面接”じゃなきゃツッコミいれるのに!! 面接指南書には『キレるなんて論外』って書いてあったからできないじゃねぇか!!
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