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「す、すいません……」
とりあえず謝っとこう。
「履歴書でこんなふざける人初めて見ましたよ……。勇者一行の戦士さんのキャラを演じるわ、戦士さんをバナナキャラにしようとするわ、ある意味何年かに一人の逸材ですよね」
この面接官、めっちゃ皮肉な笑み浮かべてくるんだけど!!
てかね、
「あの、さっきから戦士を演じてるって仰られてますけど、私、マジで勇者一行の戦士なんですよ」
やっぱそこは正しておかないとな。
「はい? 何言ってるんですか? どこからどう見てもそうには見えませんよ? てかバナナキャラってw」
どう見ても俺だろ!! どう見ても勇者一行の戦士としか見えないだろ!! むしろ俺ってどう見られてたの!? しかもあんた、バナナのことを鼻で笑わなかった!?
もし相手が勇者だったら殴りたいくらいの怒りを抑えて、
「ちょっと、待って下さいね?」
と、俺は座っている椅子の隣に置いてある鞄を漁る。
「まさかバナナでも取り出すんじゃないでしょうね? そんなバナナアピールしたいんであれば、ウチじゃなくて他をあたっ、て、く……!?」
文句を言っていた面接官が目を丸くする。俺に指まで差して口をパクパクさせている。
「せ、戦士さん!? え!? どこから現れたんですか!? え!? えぇ!?」
そんでもって堰が決壊したかのように急にパニクり出した。
だがこれは面接。もしかしたら、俺を動揺させる作戦その二かもしれない。俺はあくまで冷静にしてなくては!!
「あの、最初からいたんですけど」
「いや!! そんなはずないですよ!! だって今、戦士さんの名を語る不届き者と面接してたんですよ!!」
「それ私ですって!! えっと、今私が兜を被るの見てましたよね?」
「何言ってるんですか!? 急に戦士さんが降臨したんじゃないですか!!」
どういうこと!? 家に置いておいた長年使った兜を鞄から出して被っただけだよ!? 急に俺が降臨したの!?
「ちょっと待って下さいね?」
兜を脱いでみる。
「……あれ!? 戦士さんはどこ!? バナナの人、戦士さんを知らないか!?」
「いや、だから私が……」
「そのキャラもういいから!!」
おかしいだろ!! 兜脱いだだけだよ!! なんで勇者一行の戦士からバナナの人にランクダウンしてるんだよ!! ずっと俺だよ!! 同一人物だよ!!
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