第十二章 目的

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それ以降も謎の事故に巻き込まれる二人。 だが、頑として占いなんて信じないと言い張る中佐。 「もう、そろそろヤバイって!! 段々とひどくなってるよ!? 特に、さっきの急に黒竜さんが中佐の頭上に降ってくるなんてあり得ないでしょ!!」 「魔王軍最強の飛竜だってたまには落ちたい時もあるさぁ……」 「ないよ!! 最強の飛竜だよ!? 聖国の復興物資の運搬を手伝ってくれてるって聞いてたけど、それだけで落ちるとは思えないよ!!」 獣医に付き添われて竜舎へ向かう黒竜の巨体を見ながら勇者は必死に訴える。 「ホント、たまたまさぁ。実際俺ぁ怪我してねぇしなぁ」 「そりゃ、必死に避けたからだよ!! 普通にいたら棺桶だよ!? もう怖いから、とりあえず城の中に入ろう? これ以上酷いことはないだろうけど、念のため安全そうな所に、ね?」 勇者は中佐を城の方へ押す。 「そんな必要ねぇって。兵士たちの訓練見なきゃなんねぇからダメだぁ。それに、俺が怪我するなんてあり得ンガッ!!」 突如として、勇者が押していた中佐が消えた。支えの無くなった勇者は前のめりに倒れ、起き上がろうとした時、その体が危険信号を発した。 何か焦げくさい臭いがする その感覚を勇者は知っている。いや、忘れるはずがない。 中佐を消した、もとい火炎弾で吹き飛ばした者はゆっくりと中佐に近付く。 「ウフフフ……。覚悟はできてるかしら~?」 邪悪な笑みを浮かべる女、すなわち僧侶は、痛みと恐怖で立てない体を引き摺る中佐の目の前に立つ。 「あく……僧侶さん、いきなり何すんだぁ!? 俺が何したって言うんだよ」 今まで見慣れた青い服装よりも白が多く取り入れられた僧侶装備を見ながら中佐は怒る。 「あら~? わからないの~? さっき、私のこと“オバサン”って言わなかったかしら~?」 中佐は食堂で確かに言っていた。 「いやっ、そんなことは……」 「困るのよね~。私、オバサンって年じゃないから~」 「イダダダダダダッ!! ギブ!! ギブ!!」 僧侶に杖でグリグリされる中佐は悶え、それを勇者は恐怖に溢れる表情で見届ける。 「僧侶、もしかしてそれだけのために中佐を襲ったの?」 「そうよ~」 「聖国からわざわざ……?」 「えぇ」 笑顔で返す僧侶に、勇者は苦笑いを、中佐は蒼い顔をするしかできなかった。
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