第十二章 目的

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「まず、スープから。えっと、『バナナのポタージュ~バナナの輪切りと千切りを添えて~』だそうだ」 「バナナをミキサーにかけて作った液体に、バナナ切ったのを乗せただけだろ!? シャレオッティな名前付けんなよ!!」 「次に前菜。『バナナサラダ』」 「切ったバナナ並べただけじゃねぇか!! 要はバナナだろ!!」 「それで主食が『まるごとバナナ』と『バナナライス』」 「まるごとバナナ? バナナ一本そのまま置いただけだろ!! 料理ではないだろ!! あとこのライス、細かく切ったバナナを米に見立てただけじゃねぇか!! 要はバナナだろ!!」 「で、ドリンクが『スーパーウルトラハイパーバナナジュース』」 「ただのバナナジュースだろ!! 名前をゴージャスにした意味がわからねぇ。つーか、バナナポタージュと同じものだろ!!」 「最後に、デザートが『プリン~市販のプリンを皿にプッチンしただけ~』」 「そこバナナじゃねぇのかよぉ!! しかも市販かよ!! 料理名に市販とかいれんな!!」 ゼェゼェとツッコミに疲れる中佐。笑いを抑える僧侶。 「つまり、デザートを除いたらただのバナナってわけだね」 「これ作ったヤツの顔が見てみたいわぁ!!」 中佐はそう怒鳴りながらバナナライスという名のバナナ微塵切りを食べ始めた。 (あ、食べるんだ……) (なんだかんだで食べるのだな……) (文句言いつつも食べるのね~……) 三人は同じことを考えながら中佐を見守る。 その中佐の感想の第一声がこれ。 「間違いなくバナナだぁ」 「でしょうね~」 みんな頷く。 「これ作ったヤツ、バナナに恨みでもあんのかぁ? これならバナナ普通に食った方がいいだろぉ」 「戦士が見たら怒るだろうな……」 「誰が怒るって!? てかバナナに恨みなんてねぇよ!! って、え!? 僧侶!? なんでいるの!?」 突然、部屋の扉が開き、エプロン姿のモブが入ってきた。威勢よく入ってきたはいいが、僧侶を見るなり腰が引けている。 「なんで武闘家クンと同じ反応するのかしら~。私がいちゃ悪い~?」 「いや、ソンナコトナイデスヨ……」 「それよりも~、モブクンこそなんでここに~?」 僧侶が質問し返す。 「よくぞ訊いてくれた!! ホントは中佐に訊いて欲しかったけどな!!」 コホンと咳払いするモブ。 「実は、ベギラマ城の食堂で働くことになりました」
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