第十二章 目的

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◆◆◆ なぜ僧侶がいる……!? あ、勇者はどうでもいい。 中佐と武闘家に対するドッキリだったんだけどな。いろんな人に黙っててもらって、一気に仕掛けようと。 とりあえずカミングアウトしてみたはいいが、みんなの反応が…… 「「「「へぇー」」」」 薄いよ!! もうちょっと大きなリアクションが欲しかった!! 「モブクン、就職できたのね~。明日は雪でも降るのかしら~。いや、矢とか飛竜が降ってきそうね~」 「降らねぇよ!!」 「モブ、お前のせいだったのかぁ!! お前のお陰で、矢に飛竜に黒竜まで降ってきたぞぉ!! 次は隕石かぁ!?」 「知らねぇよ!! 俺が何をしたっていうんだ!!」 「「「「職に就いた」」」」 四人でハモるなよ!! 俺が就職できたのはそんなに奇跡的だったのか!? 「モブ、なんでうちの騎士団じゃなくて調理の方にいったんだぁ?」 「騎士団でもよかったけどさ、俺、ずっと雑用だったじゃん? 旅の途中の料理とかも大体俺だしさ。料理にはそこそこ自信あったんだ。だったら、料理人もいいかなーって」 「なんでこの城の食堂なんだぁ? 別に、マヒャド城でも良かったろぉ?」 中佐がもっともな疑問を挙げる。 「確かにそうなんだけど、勇国ならバナナは年中出回ってるし、こっちの方が気の知れた人多いし、マヒャドの女王嫌いだし……」 理由を挙げると結構たくさん出てくる。 「一番の理由はバナナかよ!! 俺たちがいるからはバナナの次なのかぁ!?」 中佐がなんか怒ってるがスルー。 「とりあえず~、モブクン、就職おめでとう~。私たちと出会った時からの夢だったものね~」 「サンキュ、僧侶」 「そっか、モブの言ってた“本当の目的”って就活のことだったのか」 勇者が今頃納得したようなことを言う。 「良かったよ、目的が達成できて」 「ところで戦士、魔法使いはどうしたのだ?」 「イルマ? イルマなら朝一緒に城に来て、『ちょっとここの魔法使いたちを見てくる』ってどっか行っちゃったわ。アイツのことだから、魔法でも教えて回ってるんじゃねぇか?」 「そうか、なるほど。先程、中庭で魔法使い部隊の教官に魔法を教えていた者が魔法使いに似ている気がしてな。やはり本人であったか」 勝手に納得する武闘家。 「魔法……。まさか、さっきのイルマちゃんのせい!?」 急に叫び出す勇者。 「マジかぁ……。死にかけたわ……」 急に落ち込む中佐。 後者二人、何があった!?
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