第十二章 目的

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「モブ、何してるの?」 「避難なう」 中佐からとにかく離れようと必死の俺たちの元に、クッキーを片手に持ったイルマが現れた。 呑気なヤツめ。 「避難? もしかして、鬼ごっこでも始めたの?」 「鬼ごっこじゃねぇよ!! 隕石が飛来してんの!!」 「あ、ホントね。私初めて見たかも」 俺と並走しながら上を見上げる赤い目。どこにも危機感を感じてなさそうなのは気のせい!? 「アレが中佐に落ちるっぽいの。巻き込まれたくなけりゃ、逃げるしかないだろ」 「そんなことしたら、中佐が大変なことになっちゃうわよ?」 「……なんとかなるって」 ならないと思うけど。 「私、中佐助けてくるわね」 「ちょっ」 イルマは踵を返すと、中佐の元に走って行った。 マジかよ……。 「モブ、大丈夫だった?」 城門を越した辺りで勇者、武闘家、僧侶と合流。俺より先に逃げてたっていうね……。 「俺は大丈夫だけど、イルマが中佐助けに行っちゃったんだけど」 「え!?」 驚く勇者。固まる武闘家。僧侶はというと、 「なら~、私たちも助けに行きましょう~?」 「「え!?」」 驚く俺と勇者。勇者驚き過ぎ。 「イルマチャンだけに助けさせるのも可哀想だし~、ここで中佐に恩を売っておくのもいいと思うの~。異論は受け付けないわよ~」 「「え!?」」 僧侶が有無を言わせない表情で俺たちを強制的に中佐の元へと連れ出す。 で、中佐の隣。隕石の落下点。 「やっぱ助けてくれるよなぁ。いい仲間を持ったもんだぁ」 涙を流しながら語る中佐。僧侶にメッチャ感謝の言葉を言っているが、僧侶の裏の意図を知ったらどうなるんだろう。 「とりあえず、連携プレイが大事だね」 勇者が中佐から一番離れた位置で言った。 「とりあえず、俺は防御に専念するわ。イルマも手伝ってくれ」 「わかったわ」 「俺も加勢するぜぇ」 俺は防御しか活躍できそうもないからな。 それでも不安だから、イルマにも手伝ってもらうことにした。中佐も追加なら防御はかなり期待できそうだ。 「私は~、魔法で撃ち落とすわね~。勇者クンも手伝いなさいよ~」 「うん」 「えーっと~、武闘家クンは~?」 「む? 何をやればよいだろうか」 飛来する隕石。俺、イルマ、中佐は結界等で防御。僧侶、勇者は魔法で攻撃。 防御できない武闘家。攻撃魔法できない武闘家。 ……どうするんだ? 「武闘家クンは~…………マスコットでいいわ~」 マスコット、いるだけの存在。要は戦力外通告。
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