第十二章 目的

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仲間の元へと駆け出して行く勇国兵を見送ってから、ワイワイとやっている一行に視線を向けた。 時を同じくした仲間。長い戦いも終わって、また顔を合わせることができた。 一時は会えないんじゃないかと思ったけど、あっちの世界の友人に助けてもらえて、今もこうして地面に足を付けることができている。やっぱり、持つべきものは友だな。 そう言えばG撲滅の件だけど、イルマの「面倒臭い」の一言で達成できてません。すまん、死神少女。あわよくば、呪わないでくれ。 「モブクン~? そんな所で何やってるの~? こっち来て、いかに私が頑張ったか教えてあげて~」 空を見上げ心の中で謝罪していると、僧侶に呼ばれた。 「モブ、ダメだよ。僧侶じゃなくて、僕が頑張ったって言ってよ」 「違うぞ、戦士。ここは俺の武勇伝を語るのだ」 「「「「お前は違う!!」」」」 総ツッコミを喰らってしょげる武闘家。そんないつも通りのやり取りに、俺たちは笑い合う。 それぞれの立場は少し変わってしまったけど、こうしてまた笑い合えるんだ。 これからも笑顔の絶えない俺たちでいたい。 そのために、平和を維持して、魔物とも仲良くして、バナナ布教に勤しんで、バナナを愛して、バナナバナナバナナバナナ……。 とにかく、バナナ……じゃなくて、この最高の仲間たちと追ったこの世界を大事にしていきたい。 この仲間たちがいるならきっとできるだろう。仲間がいればなんとかなるもんだ、それがこの世界で失って初めて気付いたことだから。
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