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「ここでいいんだね?」
「えぇ、間違いないッスよ」
「ここがベギラマ城か……」
【ベギラマ城】
勇国のお城。武闘家とモブも働いている。
ベギラマ城の城門前に、周りを歩く人たちとは違う雰囲気を放った二つの姿が現れた。片方は女性、もう片方は男性だ。従者であろうと思われる男性は黒いスーツを着ていて特に違和感はないが、女性の方に大きな問題があった。
「ねぇ、給士。私たち、なんかすっごく注目集まってない?」
周りを見回すと、女性は持っていた扇を開き、顔を隠して給士に顔を近付ける。
「そんなこと、ふふっ、ないッスよ」
こみ上げてくる笑いを抑えながら、給士は答えた。
「それよりも、さっさと城の中に入りましょうよ、魔王様」
「それもそうだね。久々にモブ君とか勇者にも会いたいしね」
そう言ってパタンと扇を閉じ、二人は城門を通ろうとした。
だが、それはすぐに止められることになる。
「怪しい奴め。ここを通すわけにはいかんな」
勇国兵に行く手を阻まれ、女性の方は眉を寄せる。
「ねぇ、早速怪しいって言われたよ? 給士、やっぱり私の格好がおかしいんじゃない?」
「そんなことないッスよ。ぷふっ」
「君、笑ってるよね? こんな格好してる人いないもんね」
「いや、愛嬌あっていいじゃないッスか」
「愛嬌? そんなのないよ。だって現に門番に止められたし。君がこれ着た方がいいって言ったんだよ?」
「まあまあ、魔王様落ち着いて。先程も言いましたけど、その衣装を着ることで、魔王に植え付けられたマイナスイメージが緩和されるんですよ」
「確かに君はそう言ってた。だから私も信じてこれ着たんだよ。でもね、緩和されるどころか、兵士に敵対心抱かれてるよね。見てよ、彼。何言っても通してくれないような雰囲気だよ?」
二人の目の前には、剣を抜いた兵士。それもたくさん。
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