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初めて、彼女に出会った時に気が付いた。
-----同業者だ。
昼の時間帯、ナイトメア様がまた塔を抜け出した。
病院に行くのがそんなに嫌なのか。
あれだけ吐血を繰り返して、いつ死んでしまうか分からないじゃないか。
「---グレイ。」
「ラス!ちょうど良かった。ナイトメア様を見なかったか?」
「また抜け出したか。」
「ああ。」
彼女はため息を吐き出す。
ナイトメア様より少し低い身長で女性にしてはかなり高い。
近くで見なければ、彼女が女性とは気が付かないかもしれない。
「---俺も手伝う。」
「それは助かるが…君、仕事は良いのか?」
「ブラッドの使いはこれだけだ。それにナイトメアの居そうな所は見当が付く。」
「本当か?」
「ああ。」
ラスは紙袋を片手に先立って歩きだした。
俺は彼女の背を追う。
「---君はどうして帽子屋なんかと一緒に居るんだ?」
つい、口を出た問いにラスは淡々と応えた。
「あそこが俺の居た世界と似ているからだ。」
「でも、君が良く訪れていたのは時計塔だったのだろう?」
「---ナイトメアは意外と口が軽いな。」
「あ、すまない。詮索する気はなかったんだが…。」
「構わない。ナイトメアの部下として当然の事だろう。」
「え?」
ラスの言葉に俺は違和感を感じていた。
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