Prologue

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春はあけぼの やうやう白くなりゆく山ぎは 少し明りて紫だちたる雲の細くたなびきたる 夏は、夜 月の頃はさらなり 闇もなほ 螢の多く飛び違ひたる 秋は 夕暮 冬は つとめて―― ずっと昔の凄い人 あなたはどんな気持ちでこれを書いたのですか その時誰を想っていましたか あの日貴方が消えた時から 私の心に夜明けは無く 四季も無いのです あれからどれだけの夜が過ぎたのでしょう 泣いて泣いて泣き疲れて 私は眠れなくなりました 今はただただずっと遠くの方で 篝火が灯っています 暗闇の中  遠くに 手の届かない  遠くに
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