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伸彦「つっかれたー!」
寿樹「まだ初日だけどな」
伸彦「まぁあれだ! 部屋に着いたらお決まりみたいな!」
お決まりってなんだ・・・
寮に帰ってきたオレらは制服の上着を適当に投げる。
伸彦はオレの隣の部屋だが、三年間部屋が変わらないということで、去年寮に誰もいないのを見計らって壁をぶち抜いた。
今はカーテン一枚で部屋を行き来できる。
まぁ、寮母に知れた日にゃどうなるかわからないが・・・
寿樹「相部屋のヤローはまだか?」
伸彦「巧か? ありゃ部活だろ。 なんつってもサッカー部次期部長だからな」
そう、オレらにはもう1人の悪友がいる。
伸彦の相部屋の佐々木 巧(ササキ タクミ)だ。
アイツは未だに部活をやってるが、いいヤツだし是非ともオレらみたいになって欲しくない。
コンコン
???「アタシよー、いるー?」
この時間の来客・・・寮母だ!!!
伸彦は既にカーテンをくぐって自室に戻った。
まさに神速・・・
カーテンはポスターやらタンスでカモフラージュしてあるので大丈夫だろう。
寿樹「いるぜー?」
ガチャ
答えると同時に寮母が部屋に入ってきた。
鈴(リン)さん。
この男子寮の寮母の人だ。
実際の年齢は知らないが、見た目は女子高生でも違和感がないくらいに綺麗だ。
この人が寮母なのだからみんな貯まらないのかな?
鈴「夕飯作るから手伝ってー」
寿樹「今日は疲れたからパス」
鈴「あんたねぇ…腕はあるんだから今から磨きなさいって! どうせ進路もあの遅刻じゃロクに進学だって考えちゃないんでしょ?」
図星なので言い返せなくなった。
オレの田舎の実家はラーメン屋をやっていて、幼い頃から包丁は握ってたし、晩飯はオレが作ってたくらいだ。
それで月に5万で寮の晩飯を作ってた。
まぁ、辛くもないし上下関係もなしにバイトが出来るのでかなり割がいい。
寿樹「わーってるよ今行く・・・」
鈴「ん、あんがとねー」
鈴さんは部屋を出ていった。
寿樹「っつー訳で伸彦、オレ行くなー」
伸彦「鈴さんと肩並べて晩飯作り・・・」
伸彦は鈴さんが好きな訳ではなく、ただ女が好きなだけだ。
年頃なら仕方ないか・・・
異性にあまり興味がわかない自分に不安になりつつオレも部屋を出ていった。
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