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そして後々聞いてみると、旧都の縄張り争いに少しでもお化けの力が欲しいという、誘い文句に微塵も当てはまらないようなことで僕が引きずりこまれたということらしい。
傍から見れば胡散臭い宗教勧誘に引っかかったみたいだが、実にその通り。
宗教ではないにしろ、お化けの奉仕団体の話なんて宗教勧誘より胡散臭いし、馬鹿げている。
しかしながら、断ったら呪われるんじゃないかなどと、考えがよぎった瞬間、見えない圧力に押されるように、妖々堂に赴き、僕はまんまと面倒な団体の抗争に巻き込まれることになったのだ。
さて。
「すみませんが、僕の頭の中を見るのはやめてもらいませんか」
僕は隣に座っている男性に言う。
「いやぁ、すまんね。これも仕事なんだよ」
包帯でぐるぐる巻きにされた顔がそう言う。
目だけがこちらを向いているので感情やらの識別が非常に難しい。
「まだ頭の整理ができていないんですよ。だからあんな中途半端な文章にしかならないんです。」
そう言って包帯男が読み取ったことを書いていた紙を見つめる。
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