第1話 旧都の暑い夏

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大学に入って初めての夏休み。 我が国が世界に誇る、由緒正しき歴史の塊、古都旧都は今日も暑い。 夏休みに入ってから1週間ほどが経過したある日のこと。 残念ながら2ヶ月間の夏休みともなるとだらだら過ごし始めたせいで開始数日で、すでに日にちの感覚は薄れてしまった。 勉学に勤しみ、サークルにも参加しながら、美人な彼女と一緒に甘いひとときを過ごせたらと考えていた僕のくだらない希望は、叶えられることもなく、希望のままで部屋の片隅に転がっていた。 そもそも、以前より他人と接することに些かの不安を覚えていた僕が、高校卒業と同時に都合よく性格を変えることなどできるわけがないのだ。 できるわけがないと言ってしまっている段階でもう『終わってる』状態なのだが、実際そうなのだから仕方が無い。 こんな境遇の学生は他にも大勢いることであろう。 草食男子などという言葉まで広まる世の中、この際草食男子が良いことか悪いことかは無視することとして、少なからずこのような人種はいるに違いない。 そういうことにしておいてくれ。
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