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図書館は冷房が効いていてしていてとても涼しかったのだが、アパートは1980円の扇風機が悲しく首を振っているだけでほぼ効力を発揮していない。
図書館には1時間ほどいたのだがどうも落ち着かず、読みたい本を数冊借りてさっさと帰ってきたのだった。
誰もいないはずの図書館で感じる無数の視線。
広い空間のせいで落ち着かなかっただけかとも思ったが、本当に見られていたのだ。
本棚の影からこちらをじっと見つめる女、天井の板の隙間からのぞく目、机の下で体育座りして、こちらを見上げている少女などなど。
本当に恐怖を感じると叫び声は出ない。
背筋を一筋の汗が伝い、身体はガチガチに固まってしまった僕は、自分の足を掴んでいる白く細い手を優しく引き離し、逃げるようにして図書館を出たのである。
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