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後から聞いた話なのだが、『見える』人間と言うのは、お化けの類の血が流れているということらしい。
つまり、あの暑い夏の運命の日に突然いろいろ見え出したのは、どうやら偶然に偶然が重なって、僕の血の中になぜか流れている奇々怪々な成分が活発に働きだした結果と言える。
と、妖々堂の社長である、ぬらりひょんが言っていた。
妖々堂と言うのは運命の日から身を寄せているお化けの軍団の名称だ。
そのボスたるものが『大将』ことぬらりひょんである。
僕がなぜ、こんな怪しげな団体に所属するはめになったのかというと、これは物語の進行に一切の影響を与えないと思われるので簡単に解説しておくことにするが、つまるところ騙されたのだ。
騙すだなんて物騒な単語を見ると「おやおや、物語に一切関係ないとはこれまた不思議な話だ」と思われるかもしれないが、本当に関係ないのだからどうしようもない。
あの日、トイレから覗いていた気味の悪い女に僕がお化けもどきだと告げられて、その力を世間の役に立てることを目的にしている団体に入らないかという誘いを受けたのがきっかけで、それで馬鹿みたいに付いて行ったらこんな摩訶不思議な団体に行き着いたと言うことだ。
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