無表情の一日

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「行ってきまーす」 「いってきまーす」 「…ん、気を付けてな」 朝、妻と息子を見送る。 妻は職場へ、息子は幼稚園へ。 「…さて」 それと同時に、ドアにかけられたプレートを【準備中】から【開店】へと変える。 会社を辞めて始めた喫茶店。 結構評判はいい。 働いてた時のつてで、物品を安く色々仕入れているので、値段もかなり抑えてある。 簡単な料理も覚えた。 余り他人に振る舞える腕ではないのでこちらも値段は安い。 「パァパ」 「…ん」 居住側と店側を分けるドアから娘が姿を現す。 因みに子供は二人。 上が男、下が女。 娘はまだ入園してない。 1日家にいるような仕事だからちょうどいい。 「きゃー」 「…よしよし」 仕事中はちゃんと大人しくしてくれるいい子だ。 あと猫がいる。 朝、息子と戯れたあとから表にあるテーブルの上で寝ている。 とドアが開き、取り付けた鐘の音がする。 「…いらっしゃい」 「あーやいっ」 娘が真似をする。 「おはよー」 店にやってきたのは常連の人だ。 週に5回は来る人。
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