ハトリの話

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「やだあ!ハトリも一番がいい!」 だだこねて大泣きして、あの時のボクは思い出すと恥ずかしいけど、子供の反応としては間違ってないよねえ。 「ハトリ、パパはね、ママと出会う前には沢山の『世界で一番好きな人』がいたんだよ」 「いっぱいいたの?」 「うん。でもね、ママに初めて出会った瞬間、いままでの世界一は全部消えちゃった パパの世界は、ママだけになって、ママと恋人になれなかったらパパの世界は消えちゃうと思ったんだ だから、ハトリにもいつか、パパよりもママよりも大好きな人が出来るんだよ」 「だから、パパは世界で二番目だね」 「あら、ハトリの世界で二番目は私よ」 「ええ?ハトリ、パパとママどっちが二番目?」 「ママよねえ?」 世界で一番じゃないとはっきり言われはしたけれど、パパもママもボクの事をしっかり愛してくれていて。 それはそれで。理想の家族って奴だったんだと思う。
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