ちったい氷呂さん

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◇◇◇◇◇◇◇◇ 『ルパッチ・マジック・タッチ・ゴー!』 「ちょーいーねー!」 キラキラとした目でテレビの前に座る氷呂を横目で確認し、安堵のため息をつく。 保健室に似つかわしくない80インチの大画面テレビは、仕事の合間に鳥居が個人的な趣味を満足させる為に持ち込んだ完全なる私物。 そしてその大画面に映る大迫力の映像は、無論鳥居の個人的趣味によって編集された仮面ライダーベスト映像集だ。 「一瞬で泣き止むとは…やはりライダーは素晴らしい」 「おまえのつみをかぞえろ!」 鳥居昴。癒し系保健医、白衣の天使と呼ばれる彼の本性は、ライダーマニア。 「失礼しまーす。鳥居センセー一時間だけ仮眠させ…」 「ああ康か」 「あぅ?」 「て…」 軽い調子で保健室の扉を開いたのは、金髪メッシュに白スーツ 神聖なる学舎にあり得ないホストにしか見えない華美な装いの男は、宇野康之。 保健室のベッドの上でお菓子を食べる幼児と視線が合い、思わず停止した思考で紡いだ言葉は。 「…先生、いつ子供作ったの?」 「違う」
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