ちったい氷呂さん

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メールを送信したまま、携帯画面を見つめること数秒。 「お」 手の中で振動する携帯電話の画面に表示される名前を確認すると、口元に小さな笑みを浮かべ、勿体振って通話ボタンを押しそれを耳に当てる。 「もしもー………っ、わ、解ってる。落ち着け ……あれは、色々あった末に偶然あの状況になっただけだ …ああ、…ああそうだ。残念だったな」 繋がった瞬間に聞こえてきた、興奮しきったいつもの声に思わず通話を切ってしまいそうになりはしたが、携帯を操作して通話音量を下げる事でなんとか会話を続行する。 電話の相手の反応が予想通りで満足したのか、そこにはいつもの営業用の白衣の天使の笑顔ではなく、心底から楽しそうな笑顔を浮かべる鳥居の顔があった。 「喜んでくれたようで良かった。では、また面白いものが撮れたら送ることにする。…ああ、元気で」
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