ちったい氷呂さん

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「…これは…いったい何がどうなった結果の現象なんだ」 低く唸るような伊瀬の声が保健室に響き、漏れ出た殺気で窓の外でぴぃぴぃと囀ずっていた小鳥たちが一斉に飛び立っていく。 鳥居が保健室から出ていくのを確認して、いつものように無断でベッドを借りようと伊瀬が室内に入ると、中から人の気配がした。 先客が居たのかと小さく舌打ちをして、何気なく。そう、本当に何気なく。 少しだけ開いていたカーテンの隙間から中を覗いた。 「………………あ゛ぁ゛?」 中で寝ていたのは、見覚えのあるホスト。 そして、そのホストが抱き枕のようにしっかりとその腕の中に抱え込んでいたのは、何故か今朝は起こしに来なかった氷呂。しかもシャツ一枚。
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