星に願いを

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「だいじょ…氷呂、一番かわい…」 「いえそんな事を心配している訳では…」 「氷呂、ケーキ…食べる?」 「…欲しいです」 持ってくるから待ってて!と、尻尾をばたばたさせながらケーキが並べられているテーブルの方へと向かうわんこを、初めてのお使いに向かう我が子を見守るような気分で見ていると、次は背後からソファ越しに抱き締められた。 「可愛いサンタさん。今年一年いい子でいた俺にプレゼントをいただけますか?」 「今日はクリスマスじゃないですよ」 耳元で囁くバリトンボイスにぞわぞわと鳥肌がたち、わんこで暖かくなった心が、一瞬で氷点下まで冷えきってしまった。 「氷呂、あなたにはこれを受け取って頂きたいのです」 「話を聞いてください五光先輩」 抱きつく手にぎりぎりと全力で爪を立てているのに全くダメージを受けた様子が無いどころか、心なしか声が嬉しそうだ。
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