星に願いを

8/34
前へ
/184ページ
次へ
「…で、なんですかこれは。靴下?」 靴下にそうそう高いも安いも無いのだろうけれど、明らかに絹で出来ているそれは、触っただけで高級品だと解る。 「サンタクロースからの贈り物は靴下に入っているものでしょう? イブの朝、その靴下に入った氷呂が俺の枕元で眠っていれば…」 「そこの貴方。ちょっとこのゴミを焼却処分しておいていただけますか」 「っは、はいっ!」 「ああ、穢らわしいものを触るようなその表情がたまらないですね ならば俺がプレゼントとして氷呂の枕元に…」 「ストーカーとして訴えれば私が勝つと言うことを肝に命じておいてくださいね、先輩」 渡された靴下を指先で摘まみ、近くを通りかかった生徒に放り投げ焼却処分を頼んだ場面を目の当たりにしたにも関わらず、うっとりと見つめてくるこの男に弱点は無いのだろうか。
/184ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1021人が本棚に入れています
本棚に追加