星に願いを

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ジト目で睨んでくる氷呂の頭を宥めるように撫でると、まるで手品のようにグラスを取り出し氷呂の手に持たせる。 「これは…?」 「ノンアルのシャンパン。美味しいらしいから持ってきてあげたよ」 「シャンメリーですか」 「シャンメリー言うな」 そう言って笑い、減らず口を叩く氷呂の額を軽く指先で弾くと、ポンッ と音を立ててシャンパンの栓を開けると、金色の液体をグラスへと注いだ。 「少し早いけど、今年一年お疲れ様」 「…ありがとうございます…綺麗ですね」 真面目にそんな風に労われては大人しく素直になるしかない。 シュワシュワとグラスの中で弾ける泡を光に透かして眺めていると、グラス越しに楽しそうに笑う眞城と視線が合った。 「かーわいー」 「うるさい」
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