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「…あ」
服のボタンを止めてくれた五光の手を掴んで立ち上がると、そのまますとんとズボンがずり落ちる。
「!?」
「あれ?ベルトが抜けてますね」
「吉野ぉぉぉおおお!!」
「よーか…こわい…」
「なんなんですか。吉野を苛めないでください」
膝上まである長い丈の上着は腰の部分を絞ったデザインで、ズボンが無ければ生足ミニスカサンタ服に見えなくもない。
周囲の生徒のスーツの赤い割合が増えたのは気のせいだろう。
「氷呂、あまり同じ委員の後輩を悪く言いたくはないのですが、吉野程信用出来ない人間もいませんよ?」
「何を言ってるんですかごこーせんぱいは、吉野はかわいいですよ」
「冷静な目でよく見てください、あれは発言が可愛いだけのでかくてごつい猛犬です
…氷呂、なんだか呂律が…と言うか目が据わっていませんか?」
「うー…」
「あの…髪を引っ張るのは、あの、ひ」
ちゅ。
五光の長く垂らした髪を引っ張って引き寄せた唇に軽く触れ、引き寄せられた体勢のまま硬直した五光に満足そうに頷くと、再びふらふらと歩き出した。
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