星に願いを

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「璃王ー」 「あん?どうした氷呂…………おいズボンは」 「なくしました」 「なくすかんなもん」 ふらふらと近付いてきた氷呂に軽く手を挙げ、そのまま足元に目線を降ろし表情が固まる。 「あ、氷呂こんなとこに居た…!カイチョー、そのコ今ちょっと酔っ払ってるから捕獲して!」 「………ああ?」 慌てた様子の眞城の言葉を、少しの間を置いて漸く理解できたのか璃王の表情が険しく変わる。 「どうやら、お酒飲んじゃったみたいなんだよな」 「お前ら!会場内の料理に手を付けるな!「璃王ー」どうやらアルコールが混入していたらしい「りーおー」 気分が悪い者、様子がおかしいものはすぐに近くの人間…「璃王ーぎゅー…」あああうぜえ!」 会場内に指示をする最中、構って欲しいのか誰がどう見ても酔っ払っている様にしか見えない氷呂が、服を引っ張り抱きついてくる。 指示を邪魔され、苛々とした様子で氷呂の顎に手を当て、顔を自分のほうへ向けさせて。 「り」 「黙れ」 「ちょ」 「…っん… …ふ… ん…んんんーーーっ」 腰に手を回し、抱き寄せて氷呂の口を深く塞いだ。 「…ふ………っぅ……」 最初は抵抗してばたばたと璃王の背中を叩いていた手が、徐々に動きが緩慢になり、そして、ぱたりと下に落ちた。 「ふぁ…」 「眞城、これ逃げないように見とけ」 「え、ちょ氷呂!?会長今何したの!?」 「木崎様が一瞬で…!」 「会長すげええええ…!」 ぐったりとした氷呂を抱え、眞城に預ける璃王に会場中がざわざわとどよめいた。
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