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「シーツ冷たい…」
「うるせえ」
ベッドの上に降ろすと、冷たさに文句は言うが逃げる様子は見られない。
ぎしりとベッドを軋ませて、仰向けになって転がる体に覆い被さり再び深く唇を重ねて口づけ、着ていたサンタ服の上着のボタンを一つ外すと寒そうに首を竦めた。
「木崎、ずいぶん大人しいな」
「ふぁ? …んっ、ゃあっ!」
露になった白い胸元から鎖骨へゆっくりと舌を這わせ、ちゅっと音を立てて肌に吸い付くと脚が跳ね白い肌に紅い痕が散る。
上着の裾から掌を滑らせ、太股、腰と撫でるたびに小さく息を吐きびくびくと震える反応を楽しんでいると、何処からか聞こえる小さな振動音が室内に響いた。
「…璃王」
「ああ?」
「もしもし?」
呟いて、ごそごそと起き上がり上着のポケットから震える携帯を取り出し、なんの躊躇もなく通話に出た。
「…いま居る場所ですか?今は…」
「殺すぞ」
「ああっ!返しなさい伊瀬!」
『伊瀬先輩?』
電話の向こうから聞こえるのは、ざわざわとした大勢の声と、意外そうな璃王の声。
「うるせえ、殺すぞ」
『ドコ行ったかと思えば、伊瀬先輩といたのか。なら安心だな』
「ああ?」
『お気づきかも知れませんが、氷呂のやつ「酔っぱらって危機感と判断力がおもいっきり低下」してて、おまけに酔うと「キス魔」な上に「思いっきり甘えてくる」ようで、
「録でもない相手に拉致られ」て「襲われて」んじゃねえかと心配してたんですよ
伊瀬先輩に「保護されて」一緒にいるなら「安心」ですね。「襲われないように」氷呂のこと頼みましたよ』
「あぁ!?」
所々単語を強調しながら、言外に襲うなよと釘を刺され、もう一度お願いしますと念押しされて通話が切られた。
「…お前、酒飲……………おいふざけんな」
力一杯電源を切り、状況の説明を求めようと振り返った先には。
「んー………」
ふかふかのベッドの上ですやすやと健やかに眠る副会長様の寝顔が…
「おいてめえマジでふざけんな木崎」
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