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「…はあ…」
布団にくるまれたまま、諦めて楽な体勢に腕を直そうと狭い場所でもそもそとしていると手首に妙な違和感を感じた。
「…なんですかこれ?」
なんとか布団から腕を出すと、いつの間にか右の手首にしゃらしゃらと鳴る細い銀のチェーンのアクセサリーが巻かれていた。
「あー… やるよ」
「やる と言われても…」
「それ、太さに合わせて長さが調節できるから首とか脚とか、色んな場所に色んな用途で使えるそうだ
…色んな場所にな」
最後にぼそりと低い声で呟かれた不吉な言葉の意味は出来るだけ深く考えないようにしながら、手首の鎖を眺める。
細身のチェーンには小さなダイヤの形の飾りと光る石が付いていて、その辺の雑貨店で売っているようには見えない。
「…これ、高そうなんですが」
「そうか?」
「こんなものを貰っても困ります」
「気にするな、夕べもっとイイモノ貰ったから」
にやりと笑いながら腰を撫でる手の動きにざわざわと背中に嫌な感覚が走る。
「ま、待ちなさい!夕べ何をしたんですか!」
「覚えてないのか?」
「覚えてないから聞いているんですよ!いったい何…」
顔色を器用に青くしたり赤くしたりしながら、思わず上体を起こした瞬間。
「おいこら伊瀬えええ!お前俺のあ………」
「あ…」
「……」
「……………悪い。まさか…サンタプレイ中だったとは…」
伊瀬の同室者が勢いよく扉を開いた瞬間、一瞬で真顔へと変わり視線を逸らされる。
サンタの格好をしてベッドの上で伊瀬に跨r………
「っち、ちがいます!!」
「本当になあ。お前空気読めよ」
「あなたは黙っていなさい!」
「大丈夫、木崎様のサンタさんチョーかわいいっすから!」
「だろ?」
「うわああああもう黙りなさい!!と言うか伊瀬私のズボン何処にやったんですか!」
「しらねーよんなもん。あんまり騒ぐなよ。痛むんだろ?」
「伊瀬お前、そんな細い腰に無茶すんなよな」
「だから違います!ああぁもう嫌だ部屋に帰ります!」
「木崎様ー。そんな可愛い格好でE組寮ウロついたら、一瞬で襲われますよ
伊瀬の服は木崎様にはでかいし、俺の貸します?」
完全に不利な状況に置かれ、半泣きで伊瀬の部屋から敵前逃亡する氷呂の背中にかけられた声に、思わず足が止まった。
「……………貸してください…」
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