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いつもは静かな放課後、広い校舎に副会長様の悲鳴が響き渡る。
「った…助け…」
すれ違う生徒たちがすわ何事かと振り替えると、いつもはサラサラと風に揺れる射干玉の髪を振り乱し、半泣きの副会長様がこちらに向かって走ってくるのが見え、
一瞬だけ喜びの表情に変わるが、そのすぐ後ろを追ってくるおびただしい数の生徒達が目に入り思わず廊下の端に飛び退いた。
「木崎様ああああああああああああ!!」
「待ってくださああああああああい!!!」
「チョコレートくださああああああいい!」
「受け取ってくださあああああああい!」
「踏みつけてくださあああああい!!」
「ひっ!」
普段滅多に全力疾走なんかしない副会長様が、その白い肌を紅潮させ疾走するさまは確かに滅多に見られるものではないが、自分の欲より命の方が惜しい。
思わず目を逸らした生徒達は何も悪くない。
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