鬼の霍乱

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「ぅ…ん…」 全身に纏わりつくような体の重さに意識が覚醒し、自分の思い通りにならないまぶたを無理やり持ち上げると、目の前は白一色だった。 「…あれ…?」 たしか、さっきまで自分はホールに居たような気がするが… 「起きたか、木崎」 「…とり…せんせ…? ……保健…室?」 「ホールで集会中に倒れたんだよ。わかるか?」 眠っていたベッドを囲む白いカーテンを開き、中を覗き込んできた顔に漸く自分の置かれた状況を理解出来た。 「頭が…ふわっとなって…」 「過労と寝不足で体力が落ちたところに風邪を拾ってきたみたいだな 血相を変えた御剣がお前を抱えて保健室に駆け込んだときは何が起きたかと思ったぞ 最近忙しいのか?」 そういえば、意識を失う直前に璃王の声が聞こえたような気もする。 「生徒会の仕事がたまっていて…」 「それで倒れてちゃ意味がないだろう。ここ数日食堂にも行ってないようだが、自炊を…しているわけないか」 「でもちゃんと栄養サプリメントは飲んでいたし今朝も栄養ドリンクと30種類の野菜が入っている栄養補助食品を…」 何やらノートに書き込む鳥居の手の動きをぼんやりと眺めながら小さく反論してみたが、ぺしりと額を指で弾かれた。 「それは世間一般には食事ではなくただの栄養補給だ。 食事というものは美味しいものを食べて美味しいと思うことで栄養になると言うのが私の持論だ」 「はぁ…すいません」 「朝に倒れて今は二時間目だ。寮に送ってあげるから準備しなさい」
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