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いつの間にか途切れていた意識は、喉の渇きと額のひんやりとした感触で突然覚醒した。
なにか悪い夢を見ていたのか、汗で張り付いた寝間着が気持ち悪い。
「水……っわぶっ!?」
眠る前よりもだるさが増した体をのろのろと起こし、水を飲もうとベッドから降りようとした足がもつれて顏から床へと着地した。
「ぅ…うー…」
力が入らない体で泣きそうになりながらずりずりと貞子のように床を這っていると、がちゃりと寝室の扉が開きリビングの光が暗い室内に差し込んだ。
「氷呂!?お前なにやってるんだ!」
「ぅ…璃王~…」
珍しい焦った璃王の声に手を伸ばして助けを求めると、体を抱き上げられそのままベッドの上へと戻される。
「なんだ?何か欲しかったのか?」
「喉…渇いたので…」
「わかった、そこで大人しくしてろ」
頭を撫で、リビングに戻る璃王の背中に少しだけ安心して体の力を抜く。
風邪をひいたのなんて何年ぶりだろうか。
油断した。というより、家に居た頃は、風邪をひけるほど気を抜くことが出来なかったと言う方が正しいかもしれない。
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