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何故璃王がここにいるのだろうか。
仕事はもう終わったのか、それともサボってきたのか。
「ほら、持ってきたぞ。飲めるか?」
「ありがとうございます…」
いつもなら問い質すところだが、現金な事に居てくれる事に嬉しいと思ってしまう。
喉を通る冷たい水に一息ついて、璃王にグラスを返し壁に背中を凭れさせるとわしゃわしゃと頭を撫でられ、手の温度が心地よく目を閉じた。
「何で、璃王が?」
「看病だ」
「えっと…」
「ついでに、珍しく弱ったお前の見物に」
頭を撫でる手が前髪をかきあげ、広くなった視界一杯に璃王の顔が広がり、こつんと額がくっつけられた。
「…だいぶ熱いな。薬は?」
「え…ま、まだです」
「薬を飲む前に何か腹に入れた方がいいか…」
「あの、璃王…」
「ああでもその前に着替えるか?だいぶ汗を…」
「り、璃王…っ近い…!」
額が触れたまま、吐息が当たるような至近距離で囁かれ一気に体温が急上昇した気がした。
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