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反射的に壁際まで逃げたがコイコイと璃王に手招きされ、素直にもぞもぞとベッドの上を這って近付くと頭を撫でられ改めてベッドの上に座らされた。
「ほら、拭いてやるから」
「…自分で出来ます…」
「あん?俺が拭いてやるのは不満か?」
「不満以ぜ……っくしゅっ!」
「いいから大人しくしろ、タオルが冷めるだろ」
「ぅ…タオルの心配より私の心配を…っしゅっ」
いつの間に用意したのかほかほかと湯気を上げるタオルを見せられて、引き下がる様子はないようだと溜め息をつく代わりに、汗をかいた体が冷え連続して出たくしゃみに璃王が驚いたように目を見開いた。
「ほら」
「う…」
ベッドから足を降ろして、璃王の方に向かい合わせに腰掛ける体勢になると、温かいタオルが胸に押し当てられた。
「拭くから腕上げろ」
じわじわと体の内側が温められて体の力が抜け、言われるまま、腕を上げたり璃王に背中を向けたりとくるくる回るが、ふと途中から
「…なんで私の方が動き回らなければならないんですか」
と気付き、立ったままタオルを差し出す璃王を睨むと面白そうに笑われてしまった。
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