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納得はいかないが、汗を拭かれてあの璃王がわざわざ買ってきてくれたらしい、ライムグリーンの新品のパジャマに袖を通すと多少体も気分もすっきりとした。
「汗を拭いたら…次は薬」
「薬?」
「薬を飲むには、まず飯を食わせろと鳥居は言っていた」
何やら看病マニュアルでも書いてあるのか、携帯の画面とにらめっこしている璃王の言葉を復唱して首をかしげると、楽しそうな声で返事が返ってきた。
「食事…」
食事…と言われても、ずっと眠っていた体ではさほど空腹感はない。
それどころかむしろ、へたなものを口にしたら吐き気が起きてしまうような気がする。
「リゾットか玉子粥。うどん。玉子酒。食事を取る気が起きないなら、アイスに桃缶にゼリー、プリン…」
「ちょ、ちょっと待ってください!璃王貴方どれだけ持ってきたんですか!?」
「クラスの奴等に風邪の時に食うものを一通り聞いてきた
腐るものじゃねぇんだ。お前の部屋の冷蔵庫に全部いれておいた」
「…リゾットは持ち帰ってくださいね…」
さすがに、調理済みのものはちょっと…
「何が食べたい?」
さっきから、ずっと楽しそうに世話をやく璃王は、自分を心配していると言うよりも、看病ごっこが出来ることが楽しいのではないか…と邪推してしまう。
よしよしと頭を撫でられるが今は特に空腹でもないし食欲もない。
「…熱出そうです…」
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