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「り…璃王、いたい…」
額を触れさせたままぐりぐりと押し付けられ、痛みから逃げようと俯くと背中に腕が回され、撫で擦られる。
「明日も仕事があるぞ。明日も休むつもりか?」
「…うー……飲み、ます」
今日の分の仕事は手をつけていない。
璃王を助けるべき立場の自分が、明日もこの調子で休んでしまうなんてあってはならない。
「…粉薬嫌い…」
「口移しで飲まされたくないならさっさと飲め」
「うぐ…」
物騒な脅しに慌てて粉を口に入れ、口の中で溶ける苦い粉を水で一気に飲み込んでふーっと溜め息を吐くと、小さい子供を褒めるようにわしゃわしゃと頭を撫で回された。
「つか、お前また熱が上がってないか?安静にしろっつっただろ」
「わ、わかってますよ…今からちゃんと寝ます」
頭に乗せられた手にぎりぎりと力を込められ、頭蓋骨を握り潰される前に慌ててベッドの中へと逃げ込んで頭まで布団を被った。
「寝るまでここに居てやるからさっさと寝ろ」
そう言って椅子に座る璃王に従い、おとなしく目を閉じると、寝かしつけるよう胸の辺りをゆっくりと叩く。
そのリズムに呼吸を合わせているうちに思考がゆっくりと遠退き、いつの間にか何度目かの眠りへと落ちていた。
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