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「…あんな水みたいなチョコレートで感謝されても寝覚めが悪いですから」
心底不満そうな顔で、ラッピングもない小さな箱におざなりに詰め込んだチョコレートを五光に叩き付けるように手渡す。
「…っ!氷呂…これは!」
「勘違いしないでください。それは七桜にあげるチョコの失敗作です。ゴミを先輩に処分してもらうだけですから」
「ええ、解っていますよ」
冴え渡る毒舌に嬉しそうに笑みを浮かべ、大切な宝物を持つようにチョコレートが入った箱を両手で愛おしむようにそっと五光が撫でるのを見た氷呂の眉間に、僅かに力が入った。
「…わかって…ないじゃないですか」
「…え?」
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