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舌足らずな返事にもう一度よしよしと頭を撫でると、嬉しそうに笑顔が返ってくる。
「おい、ガキ」
「う?」
「どうやってこの部屋に入った。名前は。氷呂はどこにいった」
「…ふ…ふぇ…」
「璃王、怖がってる」
「ああ?」
矢継ぎ早の質問にびくりと体を震わせて、璃王の視線から逃げるようにぐりぐりと朱雀の胸に顔を押し付けて隠れようとする幼児。
「ふぇぇぇぇ…」
「っな!」
「あーあ。ごめんねぇ、このお兄ちゃん怖いねえ」
「ぷ…」
「ボクの名前はぁ、ハトリっていーますっ。君のお名前はなんですかぁ?」
「き…きしゃきひろ。よんしゃいですっ!」
よんしゃいです!と言いながら、五本の指全部広げた掌を得意気に前につきだす仕草に思わず癒され、数秒の間の後、子供の言葉を脳内で繰り返す。
「…きさきひろ?」
「あいっ!」
「…木崎、氷呂」
「あいっ!」
「…氷呂ちゃん」
「あいっ!」
「リオちゃん。これ、氷呂ちゃん」
「…あ?」
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