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生温い風が頬を撫でる感覚に、意識が覚醒する。
重たい目蓋をなんとかこじ開け広がる景色。
蒼穹。
まばらにかかった雲。
陽光。
群れを成して飛ぶ鳥達。
……状況を整理しよう。
確か俺は下校している途中で、さっきまでは空が薄暗くて雨も降っていて。それで、……そうだ。古い家電量販店の前を通った時に声がして……。ショウウィンドウに飾られていたテレビの砂嵐を見ていたら、意識が遠のいて――
「……ここ、どこだ?」
辺りを見渡す。ここはどうやらどこかの屋上みたいだ。
なんの飾り気もないコンクリートの上に横たわっていた。
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