邂逅、覚醒、歓迎

2/34
18人が本棚に入れています
本棚に追加
/265ページ
生温い風が頬を撫でる感覚に、意識が覚醒する。 重たい目蓋をなんとかこじ開け広がる景色。 蒼穹。 まばらにかかった雲。 陽光。 群れを成して飛ぶ鳥達。 ……状況を整理しよう。 確か俺は下校している途中で、さっきまでは空が薄暗くて雨も降っていて。それで、……そうだ。古い家電量販店の前を通った時に声がして……。ショウウィンドウに飾られていたテレビの砂嵐を見ていたら、意識が遠のいて―― 「……ここ、どこだ?」 辺りを見渡す。ここはどうやらどこかの屋上みたいだ。 なんの飾り気もないコンクリートの上に横たわっていた。
/265ページ

最初のコメントを投稿しよう!