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ある秋の1日。
この日は朝から冷たい大粒の雨が降っていて、外は冬なみの寒さだった。
あたしは仕入れの為、早朝から店を留守にしていた。
雨のせいもあり、帰って来れたのは夕方。
店を開けようとトラックを降りたあたしは、扉の前に座り込む1人の少年を見付けた。
『……。』
白の学ラン、周りを威嚇するような銀髪に鋭い目。
喧嘩でもしたのか、手と口元に痣ができている。
一見危険そうにも見える。
だが、そんな印象とは裏腹に、少年の身体は小刻みに震えており、こちらを見詰める目はどこか怯えているようにも見えた。
『…入る?』
少年をそのままにしておく訳にもいかないので声をかけてみると、警戒してはいるものの、あたしの後に続いて店の中に入って来た。
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