柏木とロールプレイング

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 「何が?」と訊ねたが柏木はそれには答えず、今度は人差し指を立て勝手に講釈を垂れ始めた。まあいい、どうせ話題もないのだ、持論くらい聴いてやるか。そんな気になった。 「いいか。正しい事ってのはただ法律を守ることじゃない。六法には罰が書いてあるだけだ。だから何が正しいかは各々考えなきゃならない。だが一つ問題がある。悪事を全くやったことがない奴に何が正しいかなんて分かるのか」  珍しくまともなことを言っている気がした。厳密に考えたことではないのだろうがそれなりに説得力がある。 「確かにわからないかもな。それで、どうしたら分かるんだ?」 「そこでどうするか。コンビニを襲うんだ、今日」
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