プロローグ

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授業も終わり、部活が始まる夕暮れ時。 俺はいつものように屋上で寝転がり帰っても嫌なことしかないな、と頭の隅で思いながら雲を眺めていた。 ああ、自由な雲になりたい、鳥になりたい、そんなことを考えながら隣を見る。 間抜けな寝顔…その寝顔が最近は俺の癒し。こいつと出会ってから変わった。自分でもわかるぐらいに変わっていた。 寝ていた身体を起こしそっと、形の整った唇に指を滑らせる。 この唇で好きだと言われ無理矢理口付けられ愛を囁かれ優しく口付けられ…沢山沢山の想いを籠められた唇。不覚にも好きになったのは俺からだった、ずっと隠すつもりだったのに…ああ、こんな奴って思っていたのに。 出会ってから一年。色々あった。 「ん…」 ぱちり、と目が開かれる。 慌てて指を離すとニヤリと笑われた。そして「キスしたいん?」と言われて抱きしめられた。押し倒されて抱きしめられたまま寝転がる。屋上の片隅。 ここで俺達は出会ったんだ。
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